新潟県胎内市は、チューリップの切花でも国内有数の産地です。
雪景色の中、15℃くらいに管理されたハウスの中でチューリップが咲き乱れる光景は、知らない人には不思議な感じに映るかもしれません。
冬に花屋さんに行けば必ずと言っていいほどチューリップがあります。興味が無いと特別何とも思わないかもしれませんが、本来春に咲くはずのチューリップをこうして冬に咲かせるためにはそれなりの苦労があります。
このページでは、そんな冬のチューリップをどうやって咲かせているのかを解説します。冬のチューリップに対する意識や感覚もまた違ったものになるのではないかと思います。 |
チューリップは一定期間の低温を経験しないと花が咲きません。
秋に球根を植え付けて、冬の間雪の下になっているのがベストです。雪の下になっていれば水分が切れることもなく寒さで凍ることもありません。新潟県がチューリップ日本一の産地である理由の一つです。
十分な低温を経験して、春に雪が融けて気温が上がってくるとグングン成長するわけですね。
この性質を利用して、夏のうちから球根を冷蔵庫に入れて強制的に低温を与え、そしてハウスに球根を植えて暖房すると、球根は春が来たと勘違いして冬に花を咲かせます。
このように、季咲きより意図的に早く花を咲かせることを促成栽培と言います。
頑張ればmooisのように12月から花を咲かせることが出来るのですが、早く咲かせようとするほど球根にも負担がかかるのでリスクが伴います。
自分でやってみたいと思う方は、10月か11月に球根を家庭用の冷蔵庫に入れて2~3か月後に植えてみてください。2月~3月頃に花が咲くでしょう。実際に出来たという報告もいただいているので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。
それより早く咲かせるためにはまたいろいろと技術があるのでここでは省略します。
前述したように、無理やり咲かせようとしている球根にはかなりの負担がかかっています。
球根が少しでも楽に根を伸ばせるように、植える前に球根の皮を剥いてあげます。 |
露地に植える時には10cmくらいの深さに植えるのですが、切花を栽培するときにはかなり浅く植えます。写真の様に球根の一部が地面から出るくらいでも大丈夫です。
植えてから咲くまで暖房するのですが土の中は冷たいので、あまり深く植えてしまうといくら暖房しても意味が無いですからね。
浅く植えた方が球根が温度を感知しやすくなって生育が早まります。結果として暖房に使う灯油を節約できるわけですね。
写真は縦横8cmくらいの間隔で植えています。
あまり密植にすると恐ろしい病気の発生原因になるので気を付けましょう。 |
植えてから約30日後。
順調に生育しています。
水分は極端には切らさないようにします。
チューリップは多少水をやり過ぎても悪いことはありません。マメに灌水すると良いかもしれません。
まぁその辺は品種にもよりますが・・・。 |
植えてから約45日後。
もう一息です。
チューリップの最大の敵はボトリチス病です。
褐色斑点病や灰色カビ病とも言われますが、下手にこの病気を出してしまうとハウス全体が壊滅状態になってしまいます。
原因としては、ハウス内の低温過湿状態、密植による風通しの悪さなどがあります。
病気を予防するために、花が咲くまでは定期的に消毒をします。 |
植えてから約55日前後で花が咲きます。
花が開いてしまうと売り物にならないので、写真のような蕾の状態で収穫します。
毎日、朝と夕方に収穫します。腰が痛いです(x_x)
球根ごと引き抜いて作業小屋へ運びます。 |
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球根が付いた状態なので球根を機械で割ります。
その後、長さ別に選別し、さらに品質別に選別します。mooisの花束に使われるのはもちろん最高品質のものです(^^)
品質ごとに分けたものを10本束に束ねます。
そして簡易ラップをして1束完成です。
mooisの自宅用チューリップをご注文された場合は写真のような状態でお届けします。
市場に出荷する場合は、1箱50本か100本に箱詰めして出荷されます。 |
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