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チューリップの育て方 本職Ver.
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チューリップ畑
mooisメンバーはチューリップ農家です。そんな本職のチューリップの育て方をここで紹介します。
教えられることはすべて載せているので文章が多いですが、頑張って読んでください(^^
普通にガーデニングでチューリップを楽しんでいる方には全く関係ない話や難しい話も出てくるかと思いますが、
その辺は、「農家の人ってこんな風に育ててるんだー」と思って見てもらえればと思います(^^;
HPでチューリップの球根販売していますが、こんな風に栽培しています。
買っていただいた私たちの球根に、少しでも愛着が持ててくれればと思います。
重要なポイントは赤字にしておくので参考にしてみてください。



球根の植え付け
チューリップを植えるのは秋ですが、寒く感じるくらいになってからでいいです。
ホームセンターなどには早い時期からチューリップの球根が並んでいますが、
地温が高いといろいろな障害が出るので、焦らず十分寒くなってから植えましょう。
新潟で言うと11月の上旬、暖かい地方なら12月になってからでも大丈夫です。
人間は体温が1℃上がると具合が悪いですよね? 植物にとっても地温の1℃は大きいのです。
ですからなるべく涼しくなってから植えましょう。 基本的には発根適温は地温13℃と言われています。

まず、植える場所は肥料を入れて耕して土をやわらかくしておきます。
肥料の種類は特にこれと言って制限はありません。市販されているガーデニング用肥料でOKです。
チューリップを始めとする球根類は、基本的に球根内に貯めてある養分で花を咲かせるので、
肥料をやらなくても綺麗に花を咲かせてくれます。
肥料をやるのは花を咲かせるためではなく、来年に向けての良い球根を作るためです。
肥料をやった方が確かに元気に生育しますし掘り上げた時に球根も大きくなっているでしょう。
でも肥料をやりすぎると球根が腐れます。
その多すぎず少なすぎずという微妙なラインで肥料を与えるのが我々本職の腕の見せ所なのです。
球根が腐れては何にもならないので、肥料はほどほどにしておくのが無難でしょう。

健全なチューリップ球根球根はいろんな所で買うことが出来ますが、傷みが無く根座(球根下の根が出る部分)が膨らんでいるものがいいでしょう。
芽が出ているものがありますが、そのくらいの方が私は元気があっていいと思います。
植える深さは、私たちは10cmくらいの深さで植えます。
あまり浅いと直射日光で地温が上がるので、浅すぎるくらいなら深い方がいいと思います。
ちなみに、プランターより地植えの方が根がよく伸びるので生育が良くなります。
ネズミに食べられた球根ネズミはなんでも食べますが、チューリップの球根も大好きです。
チューリップは多少球根を食べられたとしても花が咲きます。
そして翌年に掘り上げたときには正常な球根に戻ります。
なので諦めずに植えてみてください。
余談ですが私の統計によると、値段の高い品種の方がネズミにとっては美味しいようです
一概には言えないですけど(^^
;
チューリップ球根の小球こんなに小さい球根は売られていませんが、翌年に球根を掘ったときに子供がついてきますよね?
この小さい球根は植えても葉が1枚だけ出て花が咲かないかもしれません。
でもそれを植えると翌年にまた大きい球根になります。
そしてその大きい球根にまた子供がつきます。
大きくなった球根は市場に出荷して、小さい子供の球根をまた植えます。
このサイクルがチューリップ農家の仕事なんですね。
興味のある人はこんな球根も植えてみてください。
チューリップ球根の植え付け機これがチューリップの球根を植える機械です。これはかなり初期型ですけどね。
土に溝を掘って、回転しているスプーンが球根を1個ずつ溝に落としていく仕組みになっています。
一日に20万球以上植えることができます。



発芽〜生育期
チューリップは、ある程度の期間低温を与えないと上手く花が咲きません。
冬の間、雪の下になっているというのがベストです。新潟県チューリップ日本一だという理由です。
雪の下になっていれば土が凍ることもないですし、水分が切れることもありません。
春まで芽が出ないので、芽が風で傷むようなこともありません。 最高ですね。

さて、雪解けとともに芽が出てくるわけですが、ここで多少肥料を与えるとその後の生育が良くなります。

ただし一歩間違うと球根が腐れるので、一般の方は追肥はしない方が無難です。
上の方にも書きましたが、
基本的には肥料をやらなくても花は咲くので無理しない方がいいです。

チューリップの消毒芽が出てから球根を掘り取るまでの間は定期的に葉を消毒します。
チューリップは褐色斑点病や灰色カビ病という病気が葉につきます。これを防ぐために、ダコニール・ロブラール・スミレックスなどの薬剤を定期的に散布します。
基本的には湿気が多いと出る病気なので、プランター植えで雨に当たらないようにしておけばベターです。



開花・ウィルス除去
花が咲く時期は新潟でいうと4月末から5月上旬。ちょうどゴールデンウィークですね。
胎内市チューリップフェスティバルを開催しているので是非足を運んでください(^^
さて、花が咲いたら花びらをよく見てみましょう。変な模様が入っていませんか?
普通と違うのなら、その球根ウイルスに感染してます。
ウイルスは不治の病ですし、放っておくと次々と感染するので、見つけたら球根ごと抜き取って処分しましょう。
勿体無いという方もよくいるのですが、やっぱり病気ですので処分するのがよろしいかと思います。

ウィルスに侵された花ウィルスに侵された花です。
赤系の品種は花に黄色の模様が入ったり、ちょっと見づらい暗い赤の模様が入ることが多いようです。
ピンク系や紫系には白の模様が入ることが多いようです。
白系と黄色系は花を見ても解らず、葉に症状が出ることが多いようです。
こんな花を見つけたら抜き取って処分しましょう。
ただ、品種によってはウィルスっぽい花の模様の品種もあるので注意です。
チューリップの葉のウィルスこれは最近流行の条班ウィルス。
土壌伝染するので非常に厄介です。
強い品種と弱い品種があるようですが、見つけたらとにかく処分してください。
ちなみに写真はピンクダイヤモンド。

葉の縁に黄色や白の線が入る品種がありますが、それは病気ではないので注意してください。



花摘み
花を楽しんだら、その後めしべが残らないように花を摘みましょう。
花が終わる前に摘んでも特に差し支えありません。
ちなみに畑で咲いているチューリップは、我々農家ウイルスを見つけて抜き取るために咲かせているだけなので、ウイルスを抜き取ってしまったら直ぐに摘んでしまいます。
花を摘むことによって、本来種を作るために使われる養分が球根を太らせる為に使われるようになるので、球根が充実して来年も花を咲かせられるような良い球根になります。
花を摘むのにハサミやカッターナイフを使うという丁寧な人もいるようですが、それはウイルス伝染の原因になるので止めた方がよいでしょう。


チューリップの花摘み機チューリップの花摘み機です。
カッターやハサミを使ってはいけないと書きましたが、この機械はカッターで茎を切っていくので多少ウイルスが伝染してしまいます。
一日で2ha以上は花摘みができます。(1ha=100m×100m)
人間の10倍以上は速いでしょうね。
チューリップ畑機械が通った後はこんな感じです。
残った花は手で摘んでいきます。


摘んだ花は捨ててしまいますが、それが勿体無いということで、近年新潟県内の旅館の人たちや警察の人たちが花を大量に持ち帰って花絵を作るということが流行っています。
ハンカチなどの染物にもチューリップの花が使われていて、「チューリップ染め」として販売されています。




球根の掘り取り
チューリップの枯れた茎葉掘り取りの適期は新潟で言うと6月の上旬。
茎葉がだんだん枯れてきますが心配しなくても大丈夫です。 これは球根が茎葉の養分を吸って、その分太ろうとしているからなのです。
なので、せめて
左の写真くらいに葉が枯れるまでは球根は掘り上げないようにしましょう。
螺旋見てもよく分からないかもしれませんが、これはチューリップの茎葉を処理する機械です。 球根を掘るのも機械なので茎葉は邪魔ですからね。
螺旋が回転して茎を引っこ抜いて横にずらしていくような感じです。
ちなみにこの機械は運転が難しいです。私も毎年苦労しています。
チューリップ畑上の機械でチューリップの茎葉を処理した跡です。
茎葉が見事に通路に退かされて、畝の上にはほとんど何も残っていません。
自分としては会心の出来です。 記念に写真を載せておきました(^^
チューリップ球根の掘り取り機こちらは球根を掘る機械です。
チューリップに限らず、球根っぽいものなら何でも掘れます。 例えばスイセンやカラーなどの他の球根類。 ジャガイモやサツマイモやニンニクなども掘れますね。 重宝します。
写真の機械はかなりの旧式なので、今はもっと良い機械があるかもしれません。
チューリップの球根上の機械を使って球根を掘り起こしたところです。
先に、「茎葉が枯れたら掘る」と書きましたが、最終的な掘り取りの判断は球根の皮の色です。
球根の皮は最初は白く、茎葉が枯れるのと同時に茶色に変色していきます。 
球根の皮がある程度茶色くなった時が掘り取りの適期です。
真っ白なうちに掘るのは球根の為には良くないですし、球根がまっ黒くなるほど遅く掘るのは腐敗の原因になったりします。

天気などの関係で完璧なタイミングで掘るのは難しいかもしれませんが、なるべく適期掘りをするように心がけましょう。
球根の根を傷めないように少し掘ってみて、まだ真っ白なようならまた埋めておくといいです。
チューリップ球根掘り取り機最後に、掘り起こした球根をこの機械を使って拾い集めます。
一昔前までは球根を拾うのも花摘みもすべて人力だったのですが、世の中便利になったものです。 一日で20万球くらいは拾えるでしょうか。
拾ってコンテナに詰めた球根を、その後乾燥小屋に運びます。



球根の貯蔵
チューリップ球根掘り上げたらそのまま日の当たらない風通しのよい場所でしばらく乾燥させておきましょう。
湿気が多いと球根にカビが生えたり、腐敗を助長することになります。
チューリップ球根の根もぎ風景カラカラに乾燥したら小球を取り外して茎と根をきれいに取り除きます。
カラカラになる前にこれをやろうとすると球根本体や皮を傷つけることがあるので気をつけましょう。
写真は我が家の根もぎ部隊。近所のおばあさん達です。
100万個以上の球根を一つ一つきれいにしていきます
気の遠くなりそうな数ですが、約20日間で終わります。
チューリップ球根選別機根もぎしてきれいになった球根をサイズ別に選別します。
この機械は選別機。そのまんまです。
大きさの違う穴のプレートの上を球根が飛び跳ねながら進んでいき、落ちるべき穴に落ちていきます。 ちなみに写真の右側のサイズがmooisで販売している普通球サイズになります。 ピンとこないと思いますけど(^^;
チューリップ球根乾燥小屋その後また風通しの良い日陰に球根を貯蔵しておきます。
少量の球根ならネットに吊るしておくのが良いでしょう。
参考までに、球根の貯蔵適温は20℃と言われています。

腐れている球根はエチレンというガスを出します。 それは周りの健全な球根にも害を及ぼすので見つけたら出来る限り廃棄しましょう。

あとは秋の植え付けまで待つのみです。
球根貯蔵冷蔵庫チューリップ球根貯蔵用の巨大冷蔵庫です。
温度と湿度を球根にとって最適に保っています。
mooisでは、こうすることで夏場の暑い時期を球根のパワーを落とすことなく乗り切っています。



球根の消毒
秋になったら球根を畑に植えるわけですが、植える前に球根消毒します。
この時期は通常、球根はすでに出荷されているので、皆さんが店頭で買える球根には消毒はされていないはずですが、mooisではここまで管理された球根を販売しています。
消毒しないと絶対腐る、消毒したから絶対腐らない・・・というわけではありませんが、球根生産のプロとして、出来るだけ管理された球根販売するようにと考えています。

球根消毒こんな感じで消毒水に20〜30分間浸けておきます。
農薬を扱うことですし、一般家庭では難しいかもしれませんね。
使用農薬消毒に使う農薬です。
チューリップ
サビダニの防除、球根腐敗病の予防、軟腐病の予防、カビの発生防止などです。



このように栽培された球根を販売しています
チューリップ球根チューリップの育て方 本職Ver. いかがでしたか?

興味がありましたら、ぜひmooisのチューリップ球根を植えてみてください。 オーソドックスな品種からレアな品種まで、いろいろ取り扱っています。

品揃えは大きい業者さんには負けますが、行き届いた球根管理品質の良さがmooisにはあると自負しています。


とりあえず覗いてみてください(^^
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